【写真】「華竹庵文庫」で目録を手にする時平さん

境島村で幕末古民家の創作料理・そば店が資料室「華竹庵文庫」開設
地域の歴史文化知る、金井烏洲・研香作品他296点目録に(22年6月26日)

 世界文化遺産「田島弥平旧宅」に近い養蚕農家。幕末の南宋画家、金井烏洲の弟で画家の金井研香(けんこう1803-1879)の住居だった空き家を改装し、蕎麦と創作料理を提供している「高古 華竹庵」(伊勢崎市境島村2475−1 時平和子店主)が6月25日、開店5周年を記念し、家屋に保存されていた掛け軸など296点を目録にした資料室「華竹庵文庫」を開設した。

 資料を展示している「華竹庵文庫」は、店内の土間から続く3間の最奥。兄弟の父で俳人の萬戸(ばんこ)が、利根川中州に構えた書斎「華竹庵」を現在地に移築し、研香が幕末に新築の際に合築した。3間の和室は現在、イベントやサロンとして活用している。目録をまとるのに協力したのは、地元の境郷土史グループ。形式、書画別、作者、制作年号、内容を記している。

 目録の総点数は296点。内訳は「書籍」57点、「額・書・画」40点、「古文書」15点、「書簡」34点、「文具・什物類」19点。表装していない書画などの「まくり画」は77点と最も多く、「まくり書」も28点を数える。研香・烏洲作品の他、烏洲の4男で政官書家の之恭作品など、金井家一族の関連資料の他、幕末・明治の名のある画家・書家の作品も所蔵している。

 資料室の壁に展示しているのは研香の掛け軸「葡萄にリス」(写真右から2点目)。右端の掛け軸「老人と亀図」の作者は、田島弥平の弟で島村の漢学者、田島霞山。作品は傷めないように2週間程度で展示替えを予定している。見学は営業時間内(12時〜15時 18時以降は相談)で、食事の場合はその前後時間を含み、事前予約のみ受け付けている(電話0270−75−4957)。

 烏洲のまくり画、彩色「相州浦賀港詩危利亜出港図」などは、出来栄えの良さから今後優先して額装を検討したいという時平さん。「骨董品的には今の段階でそれぞれの評価は難しいが、養蚕で繁栄を極めた島村地区の歴史と生活を知る上で、これらは貴重な資料。まだ整理しつくしてない資料も残っており、郷土史グループの皆さんの協力を得て今後も順次目録に加えていきたい」と話している。