【写真】約半世紀、夏季には子供たちの声で賑わった華蔵寺公園内の伊勢崎市民プール

伊勢崎市民プールが施設老朽化で来年度利用休止
休止後は市内他2プール施設も含めて総合的に検討

 ウォータースライダーや流れるプールなどで約半世紀、市民に親しまれてきた華蔵寺公園内の伊勢崎市民プール(伊勢崎市堤西町)が、来年度で利用休止となる。施設の老朽化が原因で、5月末から実施する安全点検などで、損傷の程度によっては今夏の利用休止も検討する。伊勢崎市は休止後について、他の市内のプール施設も含めて、プール施設の在り方を総合的に検討する。

 伊勢崎市民プールは、華蔵寺公園内の各種運動施設(野球場、体育館、陸上競技場、競泳場)のひとつとして1971年にオープンした。プールは50メートルと25メートル、小型スライダー付の子供プール、一周120メートルの流水プールなどを整備。人気を集めたウォータースライダーは、高さ15メートルが2基、約7メートル2基を設けている。

 施設は50メートルプールの底亀裂が年々激しくなり、流水プール配水管からは漏水、機械設備などの老朽化が著しい。このため安全な管理・運営が見込めないとして伊勢崎市は、来年度からの利用休止を決めた。今夏は例年通りの運営を予定しているものの、運営開始前の安全点検で不安が生じた場合は、今夏からの休止も検討する。

 伊勢崎市内には市民プールの他、通年利用の温水プール、あずまウォーターランド(伊勢崎市田部井町 1998年オープン)と境プール(伊勢崎市境下武士 1982年オープン)がある。あずまには25メートル・幼児プールの他、長さ50メートルのウォータースライダーを設けている。境も流れるプールや直線スライダーが楽しめる。市民プール休止後は、これら2施設も含めてプール施設を総合的に検討する。(2019年5月14日)
【写真】冊子「おせっかいなまち あずま」(保存版)と冊子を手にする小暮代表

地域の見守りに「お節介」の精神を活用するマニュアル冊子発刊
地域の支え合い体制づくりに取り組む「あずま地域協議体」

 住民同士で支え合おう、という地域づくり団体「あずま地区協議体」(小暮利明代表)は、お節介のマニュアル冊子「おせっかいなまち あずま 〜さりげない見守り・無理のない見守り〜」を5月1日に発刊する。関係団体や関係者に500部配り、お節介の輪を広げる。4月27日には、あずま公民館で関係団体を招き、発刊説明会を開く。

 冊子では気軽な笑顔の「おはよう」「こんにちは」のあいさつが、相互の元気を知り、知らせる活動の第一歩と提言。これを推し進めた「見守りおせっかい」で、高齢者の異変、子供の悩みや助けを求める声なき変化の察知を促そうと呼びかけている。少し変だな、程度の変化から緊急事態までの具体的事例も列挙。気付いた際の対処方法、各種団体や行政相談先などを紹介している。

 同協議体が事前に実施したアンケートによると、近所の困りごとには世帯の約8割が対応可能と回答している。そこで「余計なお世話」扱いされているお節介の人情を見守り活動に活用。具体的な行動に広げようとマニュアルを作成した。子育て世代の転入、町内会行事などの不参加が5割(未回答含む)もあり、住民同士の交流を深めてもらおうと、あずま地区、各行政区の行事なども紹介している。

 全国の市町村は少子高齢化が急速に進む中で、地域の実情にあった高齢者の暮らしを地域で支える「地域包括ケアシステム」の構築に取り組んでいる。伊勢崎市はその一環として2016年4月から、市内の11圏域に協議体の発足を促し、住民主体の自主的な地域づくりを支援している。

 あずま地区協議体では毎月1回程度の会議で発刊準備を進めてきた。参考にしたのは東京都練馬区の光が丘地区連合協議会の冊子「おせっかいなまち光が丘〜孤立死ゼロをめざして〜」。小暮代表は「地域の皆さんと、様々なお節介に関する情報を共有することで、地域がより安心して暮らせるよう一緒に考えていきたい」と発刊の意図を力説する。(2019年4月25日)
【写真】伊勢崎市が無償貸与を始めた、振り込め詐欺抑止の自動通話録音措置と同装置申請の流れ

電話接続した会話自動録音装置で振込め詐欺を抑止
伊勢崎市が先着順で100台を無償貸与

 高齢者を狙ったさまざまな振り込み詐欺対策として、家庭の固定電話に接続することで警告メッセージを流し、会話内容などを録音する自動通話録音装置「振込め詐欺見張隊」。伊勢崎市は昨年12月から同装置100台の無償貸与を始めている。先着順で既に30台余を貸し出しているが、より多くの対象者にと、市は利用を呼びかけている。

 装置を接続すると着信前に「この電話は振り込め詐欺などの犯罪被害防止のため、会話内容が自動録音されます」と警告メッセージが流れる。声を録音されたくない詐欺犯は、この時点で切ることが多い。60時間、2000件分の通話録音が可能。装置には警告音を聞き、電話を切った撃退率を表示する液晶モニターも装着している。

 家族や友人などには、警告音声を流さないよう事前に番号を登録することもできる。「拒否電話帳」登録で着信拒否もでき、海外からの迷惑電話にも対応。ワンタッチで簡単に番号登録できる機能がついている。装置中央の赤丸ボタンが「大変だ〜!!!ボタン」。家族や親戚、友人など、4箇所の事前登録電話番号に順次発報、録音メッセージを送る。

 75歳以上の市内一人暮らしが対象。無償貸与期間は1年間で、再貸与も可能。家族や親族、民生委員、ケアマネージャーによる代理申請も受け付ける。決定後は伊勢崎市の指定業者が設置に来訪してくれる。群馬県警では県内に200台を無償貸与しており、そのうち20台が伊勢崎署管内。同署によると2019年の2月末現在の特殊詐欺件数は2件で、同前年同月比−2件と減っている。

通話録音装置の問い合わせは伊勢崎市高齢課か各支所住民福祉課。電話0270−27−2752へ。(2019年3月1日)
 【写真】上:伊勢崎市図書館で18年12月22日開催の郷土文化講座「是我―石川泰三伝―」下:伊勢崎市役所前に建つ石川泰三元伊勢崎町長の胸像

繁栄伊勢崎の基礎を築いた第4代伊勢崎町長
没後75年の命日に石川泰三を知る功績辿る講演会

 大正4年(1915年)から伊勢崎町長を18年間務め、進歩的な町政運営で、繁栄する現在の伊勢崎市の基礎を築いた石川泰三(1853−1943)の功績を辿る講演会が、没後75年命日の12月22日、伊勢崎市図書館で開かれた。泰三の調査を長年続けている三巻健一講師が解説した。

 泰三は江戸末期から明治維新を経た、目まぐるしい時代の変化の中で頭角を現した。町議員、吾妻など3郡長を経て62歳で第4代伊勢崎町長に就任。任期中にモダンな町役場庁舎、六間道路を中心とする交通網整備、伊女・伊商・佐波農高校、図書館を創設するなど都市基盤を整えた。

 当時画期的だったのは、町政策の周知と町民の意見に耳を傾けるための「町報」の発刊。町職員には「庁憲」を配布し、随時開催の「自治講話会」で町民と役場職員の行政課題の共有化を図った。自治講演では、冠婚葬祭や宴会など、日常の生活改善を説いている。

 三巻講師は郡長時代、両毛線開通時に鉄道省が「いせざき」とした読みを「いせさき」に改めさせたエピソードも紹介した。趣味で書画、陶磁器、仏壇・仏具、日本画を蒐集。伊勢崎市境島村出身で、江戸後期の画家、金井烏洲会会長も務めた。

 三巻氏の講演終了後、侍気質の厳格さを残した祖父について、養子に入った孫の石川昭三さんが「直接話した記憶がない」としながらも思い出を語った。来訪者には大好きだったカレー(子供は肉なし)をよく振る舞ったこと、贈呈高級菓子は口に出来なかったことにもふれた。

 子供心に感じたのは「味がわからない子供が食べたのでは贈呈者に失礼、と思っていたのでは」。一方で年配参加者の一人が、質疑応答の中で父から聞いた話として「駄賃やお菓子をもらった」と子供にも優しい一面があったことを紹介した。

 石川昭三さんは祖父泰三の志を引き継ぎ、伊勢崎市の発展にと美術品をはじめとして、残っている蔵や住宅も自身の死後に市への寄贈を表明。既にこうした意向を受けた市が、篤志による寄付金で子供たちの教育事業にあてる「石川泰三教育みらい基金」を2017年2月に設置している。

 質疑応答の中で「今後寄贈を受けることになる住宅や蔵を活用した記念館のような構想」について問う声があがった。講座に参加していた市担当者が「遺族の意向に沿って検討したい」と答えた。(2018年12月28日)
【写真】伊勢崎市民プラザで開かれた終活セミナー「介護保険の準備講座」

「元気なうちこそ介護の準備を」ケアマネージャー細井講師
終活セミナー「介護保険の準備講座」開催


 伊勢崎市民プラザで12月10日、「介護保険の準備講座」をテーマに終活セミナーが開かれた。ケアマネージャーの細井靖子さんが、ヘルパー職時代の現場の実例を交え、わかりやすく公的介護保険について解説した。

 セミナーでは保険給付の対象となるさまざまなサービスを紹介。掃除や洗濯などの生活援助、入浴・更衣・トイレ介助などの身体介護を挙げ、家族など利用者以外は対象にならないことを指摘した。

 ヘルパー職としての勤務経験のある細井さんが、当時はサービスできなかったという爪切り、体温・血圧測定、耳垢除去。現在は原則として医療行為でないものは、身体介護として利用できることにもふれた。

 介護が必要になった場合、それが何年続くかわからない。その際は自宅か施設、あるいはグループホームなどの選択枝があるが、「どのように暮らしたいか」を元気なうちに考え、費用のメドや介護情報を収集するなどの準備の必要性を強調した。

 細井さんはケアプランねこのて管理者で、「介護離職しない訪問サービス活用術」、「失敗しない施設選び」、「選んでほしいデイサービス」などを《教えるケアマネシリーズ》として、アマゾンから電子書籍出版している。

 終活セミナーを主催したのは、全国シニアライフサポート協会の群馬県伊勢崎市支部の葬儀社(伊勢崎市寿町)。同社は同セミナーを毎月定期開催しており、次回も伊勢崎市民プラザで2019年1月26日、「お布施と戒名」をテーマに開催する。参加は無料。問い合わせは同社(電話0270-40-6863)へ。(2018年12月10日)
(上:左から青木さん、高橋さん、小澤さん/撮影は伊勢崎市内飲食店 下:南牧村にオープンした「星尾温泉 木の葉石の湯」ヒノキの浴室)

第2の人生にボランティアで伊勢崎市民が3人も
南牧村の活性化に住民や村外者が秘湯復活に参集


 群馬県南牧村の最西北部、長野県境の星尾地区に、68年ぶりに復活した秘湯「星尾温泉 木の葉石の湯」。巨岩の上に建つ古民家を住民や村外者有志が手作りで改装し、日帰り温泉として9月に開業した。地元食材を使ったレストランや休憩所も併設している。

 温泉復活の目的は、誘客による内外の交流促進と若者の雇用創出だ。昨年4月発足の復活プロジェクトメンバーは、伊勢崎市民3人を含む15人。地区内で古民家民宿を営む代表の米田優さん(71歳)と道子さん(73歳)は夫婦参加。2人は村の豊かな自然に魅了され、12年前に千葉県から移住してきた。

 同様に6年前に移住したメンバーが、温泉施設代表で太田市出身の小保方務さん(42歳)。長野県出身で事務局の松林建さん(51歳)は、昨年10月に都内から移住している。他メンバーは都内、千葉、埼玉から月1回ペースの集まりに駆けつけ、またそれぞれ都合のつく日程で、古民家改装にボランティア参加してきた。
   
 伊勢崎市内から参加したのは、旧NTT勤務の高橋雅洋さん(69歳、田中島町)、公務員だった青木孝彰さん(68歳、山王町)、県内スーパーに勤務していた小澤耕一さん(67歳、戸谷塚町)。青木さんと小澤さんは、小中高の同級生。その青木さんと高橋さんは、伊勢崎市内の公園整備などのボランティア活動で知り合った。

南牧村の自然と風景に感動 秘湯復活のロマンに魅せられる

 高橋さんが4年前、知人の誘いで南牧村を訪れ、その自然や風景に感動。切干いもの加工施設建設などの村興しを手伝う中、温泉プロジェクトにも誘われた。秘湯を復活するというロマンに魅せられ、青木さんと小澤さんに声を掛けたのが、参加のきっかけだ。

 作業は借りた古民家の一部解体から始まった。高橋さんは技術者だったキャリアを活かして改装時の電気工事を中心に担当。手伝いは月に4日から5日で、泊まりが多かったという。現役時代はデスクワークだけだった(高橋さん談)という小澤さんと青木さんは、片付けや清掃などの雑用、一輪車で土砂運搬など力仕事もこなした。

 古民家は床を張替え、レストランや休憩所に改装した。ヒノキ風呂の男女浴室は、基礎コンクリートを打設した庭に建屋を整備した。ボイラー調達資金はインターネットのクラウドファンディングで確保。施設から約180mの距離にある源泉は、新たに給湯管を敷設し引湯している。

 メンバーの多くはそれぞれ第二の人生をどう生きるかを模索する中でプロジェクトに参加。作業は先が見通せない時期もあったが、代表が鼓舞する本気度で団結力が高まり、暗礁を乗り切ることが出来たという。

 高橋さんは「同世代が力を合わせ、語り合う中で、今までにない充実感を得た。地域で若者が生活できるような環境づくりに取り組む中で、これからも多くのことを村から学びたい」と今後の施設管理・運営も見据える。

 源泉の「塩水鉱泉」は昭和25年(1950年)まで、集落の公衆浴場に使われていた。源泉は15度程度で、加熱して掛け流しで利用している。透明だが鉄分を含み、空気にふれると茶色に変色する。温泉成分のカルシウムで石に張り付いた木の葉を凝固させることから「木の葉石」と地元では伝えられていた。

 温泉は米田代表が経営する体験型古民家民宿「かじか倶楽部」(南牧村星尾1235-1)のすぐ近く。営業は午前11時〜午後6時(受付は午後5時半)までで、月曜定休。入湯料は中学生以上1000円、4歳〜小学生500円。問い合わせは米田代表(電話090−1558−2899)へ。(2018年11月1日)
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