【写真】伊勢崎市長選公開討論会で政策を語る栗原さん(左から)、蓬沢さん、臂さん。様子は17日まで動画投稿サイト「ユーチューブ」(伊勢崎青年会議所チャンネル)で閲覧可能

3候補が論戦 密回避のまばらな会場も時に熱気が
伊勢崎青年会議所主催の「市長選公開討論会」

 任期満了に伴う伊勢崎市長選は今日10日告示、17日投開票で12年ぶりの選挙戦となった。伊勢崎青年会議所(矢島敏也理事長)が8日に開いた公開討論会では、元自民党県議の臂泰雄さん(67歳 豊城町)、元市議の栗原真耶さん(36歳 境上武士)、学習塾経営の蓬沢博亮さん(38歳 太田町)が出席。事前に市民から募った「コロナ対応/市政無関心/多文化共生/財政健全化/エネルギー政策」の5質問に応え、活発な論戦を展開した。他候補からの反論時間も設けられた。市内の高校生3人が司会進行を交互に務めた。

 栗原さんは「一番の課題は市政への無関心。地域・世代ごとの対話集会で、身近に感じてもらえる存在に」と訴えた。工場勤めの夫を支え、4児の母として慌ただしい自身の日常をベースとした「市民実感」の市政をアピール。コロナ禍対応の「心のケア」も市民の生活実態から提案した。若さを武器にした物怖じしない言動、備わった歯切れの良い弁舌は、3候補の中でも光っていた。

 蓬沢さんは「8年間無投票で不満を感じない市民。政治は何かあった時に備えるため常にチェックが必要」と立候補。「全世代の活発な交流でチャレンジし続ける市と市民に」と政策提言した。「全世代交流は、学校の部活を中心に」には、教育者としての斬新な発想がより反映されている。コロナ禍の飲食店営業では「より密を引き起こす時短より人数制限を」と訴えるなど、政策提言の細部にも鋭敏な感性をのぞかせた。


 臂さんは産業、福祉・教育、都市政策、行政改革などを138の政策にまとめ、総合的、多面的に今後の市政に必要な変革を訴えた。それらの集約、繋がりの先にあるのが「地方都市の共通・最大課題の人口減対策」とした。コロナ禍対応では「保健所設置市」を提言した。政策理念として「全世代、地域間、SDGs(持続可能な開発目標)に基づく、共生社会の実現」を高らかに掲げた。

 臂さんの「外国人国籍者との言葉の壁を取り除くためにも夜間中学設置を」の主張に対し、蓬沢さんが「スキルを伴う日本語教育には質の保証が必要」とその実態を指摘した。施設統廃合に触れた臂さんの主張に「考えている施設は?」と栗原さんが“挑発的”な質問。臂さんは「地元の意見を聞き、代替えを考慮するなどしっかりした検討が必要。今答えるべきものではない」と正論でいなした。(2021年1月10日)