伊勢崎商工会議所青年部(YEG)が創立40周年を迎えた。伊勢崎市文化会館で1月22日、コロナ禍により、招く関係者を制限して記念式典を開く。参加できない関係者のためにはYouTube配信を行う。元東北楽天ゴールデンイーグルス監督の大久保博元さんが「私の野球人生〜野球から学んだ経営組織運営〜」をテーマに講演。さらに記念事業として、将来を見据えて策定を進めてきた、中期ビジョンを発表する。

 記念式典では、もうひとつ、数年前から取り組んでいる大きな動きにもふれる。群馬県内で2025年に開かれる日本商工会議所青年部主催の全国大会だ。その開催地となれば、地域の経済波及効果、認知度の高まりが期待される。そこで伊勢崎YEGは、県内でいち早く立候補した。プレゼンを重ねる中で「それなりの手ごたえも」と、引き続き着実な誘致活動をアピールする。

 恒例3大事業のうち「いせさきまつり」「もんじゃ祭り」は、昨年に続き中止を余儀なくされたものの「ミスひまわりコンテスト」は再開した。YouTube配信のファイナリスト10人を、一般参加者も加えたオンライン審査に切り替えるなど、コロナ禍で事業の見直しも図り、様々な手法を探った。組織人事では8委員会の委員長に、2人の女性を含む、若手を抜擢している。

 子供たちには「野菜の収穫・染物」「手作りイルミネーション」体験会を開いた。伊勢崎市に40冊を寄贈した「渋沢栄一から学ぶ絵本『おかねってなぁに?』(渋澤健監修 作:岡田さえ 日本商工会議所青年部制作)」の渋沢は、親団体の始祖でもある。「Plus YEG 〜繋がる絆、紡ぐ想い〜」をスローガンに掲げ、コロナ禍という逆境の中でも「仲間とともにプラス思考で可能性を探りながら、未来に想いを繋げていきたい」と前を向く。

 会社経営では「食」で時代の変化とニーズを読み、事業領域と地域を県内外に開拓、拡大してきた。入社当時は建設現場宿舎の食事提供・管理。四国や青森に足を運んだこともあるが、期間限定がネック。安定市場を求めて現在は、学生・運動部寮、社員食堂や介護・高齢者施設などに、献立作成から食材配達など求めに応じて様々なサービスを提供している。その延長で、MEGAドン・キホーテUNY伊勢崎店(三室町)内レストラン「まんぷく亭」の営業も、開発事業の一環として取り組んだ。

 「食で笑顔と命をつなぐ」が会社のモットー。自身は会話で相手を笑顔にさせる。その笑顔で高校時代に出会った同級生と、3年間の太平洋をまたぐ遠距離交際を経て、つかず離れずの大恋愛を実らせた。出会いから10年目の大安の日に、東京ディズニーランドのシンボル、シンデレラ城前で婚約指輪を手にプロポーズ。中学3年の一人娘と3人の毎年恒例の家族旅行では、多い時は3連泊し、ディズニーシーも含めた、愛と夢と冒険に満ちた、おとぎの国を楽しんでいる。(廣瀬昭夫)
「プラス思考で事業を見直し可能性探る」
伊勢崎商工会議所青年部 第33代会長 田沼健太郎さん(2022年1月18日)
【国政は立憲民主党が惨敗した衆院選総選挙が終わり、来夏には参院通常選挙が行われる。この間、伊勢崎市議選(4月24日投開票)を控えている。そこで市政の現状について伊勢崎市議会の正副議長に、それぞれの目を通した考え方、取り組みを聞いた。2回目は吉山勇議長】

 「工業団地造成に民活、保育/介護/看護の人材確保に投資」

 議長として心がけているのは「長年にわたって積み上げられた先例を踏まえた議会運営」。時には疑問に思う前例のない事態に、その経緯を調べて改善するなど柔軟に対応してきた。出産を控える議員の出産前後の休業規定はそのひとつ。昨年策定した新型コロナウィルス感染症に対する市議会対応マニュアル。「現実に発生して分かることもある」として議員の感染報告を受けて改定も行った。

 「伊勢崎市議会に限らずほぼ全ての地方自治体において、その機能は不十分」と、二元代表制の現状を語る。市政運営の細かなルールは執行で作成し、各事業案件の是非は執行が提供する情報に基づいてチェックする仕組み。「議会が決めた市政運営のルールに則り、執行状況をチェックできる状態まで進化させたい」の理想は、限りなく高い壁に阻まれている。それでも「少なくとも議会にはその責任がある」と、言葉に自覚と自戒を込める。

 経営者らしい発想で期待を寄せるのは、民間企業の資金力と事業運営能力を活用する「民活」だ。税収増に向けた投資として、民間の工業団地造成や企業誘致、市民プール再建などに、その活用を提案する。人的投資として挙げたのは保育・介護・看護などの学生への市独自の奨学金制度の充実。「こうした人材の確保が困難を極め、早急な対応が必要」と訴える。

 高校卒業後に携わった家業の飲食店経営で、社会人としての経験不足を感じた19歳の時。バスを乗り継ぎ米国を一周する旅に出た。ロスを起点にメキシコ・アカプルコに抜ける45日間の旅の途中、ニューヨークに立ち寄った。摩天楼のビル群に立った時、1年後にはこの地で生活してみようと決めた。米国で語学学校にも通い、飲食店の出前注文の電話を受けながら英語を覚えた。3年と決めていた滞在は6年に及んだ。

 ニューヨークで刺激を受けたラテンジャズやサルサなどの新しい音楽文化。帰国後に地元の人に楽しんでもらおうと、自身経営のお店に毎月、東京から演奏家を呼でみたが、商売としては続かない。市議立候補の動機のひとつは「こうした音楽の楽しさを行政にも手伝ってもらい広めることができたら」。もっともいざその立場になると「他に対応すべきことが山ほどあり」、手つかず状態が今も続いている。(2021年11月28日)

                 【1】【2】

「理想は議会が決めたルールで執行チェック」
正副議長に聞く 伊勢崎市議会のいま 吉山勇議長【2】
 【国政は立憲民主党が惨敗した衆院選総選挙が終わり、来夏には参院通常選挙が行われる。この間、伊勢崎市議選(4月24日投開票)を控えている。そこで市政の現状について伊勢崎市議会の正副議長に、それぞれの目を通した考え方、取り組みを聞いた。1回目は須永聡副議長】

「より開かれた議会改革に期待」市議会基本条例制定 

 議会運営の原則・責務や機能強化、災害時対応などを定めた市議会基本条例案が意見公募を経て、来年3月定例会に議員提出議案として上程される見通し。制定過程の意義と明文化による「より開かれた議会改革などへの取り組みの加速」に期待を寄せる。県内では既に制定自治体もあるが、市条例案は制定で終わらせず、選挙ごとの任期開始後に検証、見直し、市民への公表、改正と踏み込んでいる。

 使い道や透明性が求められる地方議会の政務活動費。領収書、視察等報告書、会計帳簿を会派ごとにホームページで公開し「交通費以外は1円まで領収書を添えて報告している」とその透明性を誇らしげに語る。一議員の上限額は月額3万5千円で、会派所属議員数に応じ、原則4半期ごとに交付される。旅費算定を定額から実費支給、前払いから後払いに変えたのは2017年度から。「年度当初は持ち出しが多くて」と、それなりの窮状に頭をかく。

 とはいえ市議会が他自治体先進地に後れをとっている部分も少なくない。また多くの地方議会に共通する、「執行が決めたことを承認しているだけの追認機関」的な市民の受け止め方を否定しない。議会開会や運営の自由度/一問一答による深い議論/政策立案/行政チェックなど、「行政と『真剣勝負』の関係をつくりたい」と意気込みを語る。加えて「議会は制度を変えられる」という「議会の存在意義」を市民に実感してもらう重要性も強調する。

「秘書時代に怒られたことは一度もない」と、14年間仕えた笹川堯元代議士の意外な一面を明かす。笹川氏を政治の師と仰ぎ、その信条「政治とは弱者のためにある」を自らにも課し、政務にあたっている。最初から政治家を志したわけではなかったが、薫陶を受けていつしか「地域の小さな声を拾う」という気持ちが芽生えていった。最後まで迷った就農への憧れは、立候補時に封印している。

 バックパッカーの間ではバイブル的存在の「深夜特急」(沢木耕太郎著)を、学生時代から愛読していた。ワーキング・ホリデーで人気のあるオーストラリアのケアンズ。大学卒業後の半年間は、大自然の中でキャンピングツアー助手や砂金堀を経験するなど青春を謳歌した。現在はコロナ禍もあり、旅に出られないストレスをメダカで癒している。10鉢の水槽の餌代はわずかで「あとは、ほとんどほったらかし状態」の手軽さも楽しんでいる。
(2021年11月17日)

                   【1】【2】

「行政と『真剣勝負』の関係をつくりたい」
正副議長に聞く 伊勢崎市議会のいま 須永聡副議長【1】
 会員は週1回のモーニングセミナーを中心に、その他各種講演会や研修、日々の交流と実践を通して倫理経営を学んでいる。横浜へ1泊出張の際に、商談先の経営者から何気なく誘われ、そこの法人会会長が講師のモーニングセミナーに参加した。経済的困窮や離婚から会社立ち直りまで、あらゆる苦悩を包み隠さず語る講話に衝撃を受けた。伊勢崎に帰ってすぐに入会した。

 2020年7月入会以降、異業種の経営者の講話を聴くことを楽しみに、毎回欠かさずにモーニングセミナーに参加している。学び続けながら、これまでの自分の歩みや生き方を自分なりに重ねてきた。倫理がその解釈の裏付けとなって「自信や確信に繋がった」と振り返る。加えて組織としての強み「人脈の広がり」を入会後の具体的なメリットとして強調する。

 会の名称から敷居が高いと思われがちだが「楽しみ方は人それぞれ。自分が楽しいと思ったことを感じて欲しい」と参加意義を単純明快に訴える。そうした空気を醸し、まず既存の会員に満足してもらうことを優先すれば「人は自然に集まる」と、会員拡大宣言を封印。組織のリーダーとしては異例だが、自分が良かれと判断したことへの批判は恐れず、時に内外で「会の異端児」と呼ばれることも甘んじて受け入れている。

 長年取り組んできた災害発生時に生命を守る多目的防災シェルター「AEGIS/イージス」。阪神・淡路大震災以降、「自分に何かできることは」と考え続け、これまでの設計・試作・開発、板金加工・溶接などの全スキルを投入して昨年、やっと商品化にこぎつけた。代理店として米国製輸入核シェルターも扱い、ソーラーパネルバッテリーなど、防災関連商品の充実を図っている。総合的な提案ができる体制構築が今後の課題だ。

 毎週開催のモーニングセミナー出席を続けているためか朝型人間に。毎晩9時から10時には就寝し、翌朝4時には起きる。コーヒーを飲みながら約1時間半、思索にふけり、前日までに気になったことをネット検索。6時には出社してメールをチェックしている。禁煙、禁酒も断行中。通院禁煙はこれまで2度失敗し、新たなクリニックで3度目に挑戦している。後から気づいた受付脇の会員企業の証、会報の「職場の教養」。巡り合わせは続いている(廣瀬昭夫)
「自分が楽しいと思えること」を参加意義に
伊勢崎市倫理法人会会長 赤石祐司さん(2021年11月7日)
 次期衆院選(10月19日公示、31日投開票)で群馬2区から出馬する、堀越啓仁前衆院議員(立憲民主党)と元衆院議員の石関貴史氏(無所属)に、政策を中心に考え方を聞いた。井野俊郎前衆院議員(自民党)は「多忙の折」として取材ができなかった。2回目は前回の落選から立て直しを図り、固い政治信念のもとに無所属で挑む石関氏。

 「大都市・金持ち優先から地方重視・庶民優先」へ

― 政党からの出馬も検討していたと思いますが、今回の無所属出馬については。

石関 約4年間、複数の政党、政治勢力の方々から声をかけていただいた。落選からしばらくして「もったいない」から、と他選挙区での可能性を問われたこともあったが、生まれ育ったこの場所から出馬し続ける、の思いは今後も変わらない。様々なお話を検討してきたが、現時点では自らの政治信条と折り合いがつかず、不利は承知で無所属出馬に至った。

― 掲げている「保守政治の刷新」による政治改革について。

石関 自民・公明党政権に代わる責任政党を構築し、抜本的な行政改革・統治構造改革を推進する。大胆な地方分権移譲改革では、国の権限、財源、一部課税権、生活に関わる一部の法律制定権などの分権移譲を実現する。日本の歴史や伝統の尊重、格差是正など、公正な社会の実現だ。言い換えれば、大都市・金持ち優先から地方重視・庶民優先の政治の実現を目指したい。

 「20万円給付金 コロナ対策繰越30兆円などから」


― コロナ禍で困窮する国民一人ひとりに一律20万円の給付金を提言していますが、バラマキとの批判もあります。

石関 減税も否定はしないが、所得制限のない給付金が手続き上で即効性に勝る。財源はコロナ対策で組んだ30兆円の繰越予算を充てるなど、やる気さえあれば出来る事。お金と時間的に余裕のある一部利用者しか恩恵を受けないGO TO事業よりも、コロナ禍で生活に困窮している国民の支援を優先したい。富裕層はそれなりの税を負担しており、公平性は保たれている。

― コロナ禍で一度崩壊した医療体制の立て直しは。

石関 不足していると言われた医師や看護婦が、東京五輪では必要な人材を確保している。人的資源が足りている中で対応できないのは、医師会などの組織に問題があり、ここに手を付けて必要なら法改正も行うべきだ。まずは第6波に備えた病床の確保。それでも不足するなら野戦病院的な施設の整備も必要だ。

 「検証なき 財政破綻無しとするMMT理論は無責任」


― 1000兆円を越す借金国家でも自国通貨を自由に発行できる国は、財政破綻しないとする「MMT」理論。井野・堀越両候補は、肯定的に受け止めていますが。

石関 これは今のところ理論上の考え方に過ぎず、検証されているわけではない。必要なら政府のお金だからどんどん出せばいいとか、国民全体の資産がこれだけあるのだから国債発行はまだ大丈夫とする声も聞くが、国家や個人の生活を直撃する経済を語るうえで、政治家としては極めて無責任だと言わざるを得ない。

― 若者の政治への無関心をどのように受け止めていますか。

石関 日本では政治の仕組みや役割を教える機会がほとんどないことが起因していると思う。こうした学びの場を増やしていきたい。とはいえ、堅い話だけでは政治から離れてしまう。個人的には最近、若い人に政治への興味を持ってもらうように、動画投稿サイトのYoutubeに1分程度の政治の身近な話題の動画を順次配信している。ぜひ観て欲しい。

座談会
【写真】石関候補の立ち合い演説会で応援する鳩山由紀夫元総理(伊勢崎市内の選挙事務所前で10月23日撮影)

 信念と覚悟を持った政治人生

【横顔・取材メモ】「引かない 曲げない 諦めない」を政治信条とする、強気一辺倒だったかつての議員時代。初めての落選を経て「多少引くことは覚えた」と、少し角を丸くした。複数の企業顧問、コンサルタント業の傍ら、「次も必ず出ます」と伊勢崎駅南口には引き続き事務所を置き、年2回の後援会報発行、時に招かれての集会と日々の政治活動は続けていた。

 「バッジが無くなり離れていく人、変わらず応援してくれる人、折にふれて気に掛けてくれる人」。落選した政治家が味わう、悲喜こもごもの日々。今までは秘書任せで初めて知った、というパスモやスイカの使い方。ごく普通の金銭感覚を取り戻す日常生活の中で、自身を見つめ直し、学ぶことが出来た「充実の4年間」とも振り返った。

 ケネディ大統領がピューリツアー賞を受賞したベストセラー「プロファイル イン カレッジ」(邦題:勇気ある人々)。成功だけとは言い切れない信念を持って政治生活を送った人々に、自身の政治家人生を重ねる。保守刷新の理想を掲げての無所属出馬や「選挙は今回で終わるわけではない」の言葉に、政治家としての覚悟をのぞかせた。 

 学生時代の友人と年に1度の渓流釣りは、多忙な議員時代も時間をやりくりして出かけた。空いている時間は読書や映画鑑賞に充てる。心酔している小津安二郎監督作品では、代表作の「東京物語」(1953年公開)をベストに挙げる。大人向けアニメだが、子供たちと一緒に観ている明治末期の北海道・樺太を舞台にした金塊をめぐるサバイバルバトル漫画「ゴールデンカムイ」。「『鬼滅の刃』より食いつきがいい」と子供たちの反応に驚いている。(2021年10月17日)。

              【1】 【2】
「保守刷新で自公政権に代わる責任政党構築へ」石関貴史氏
次期衆院選群馬2区「候補者に聞く」【2】

 次期衆院選(10月19日公示、31日投開票)で群馬2区から出馬する、堀越啓仁前衆院議員(立憲民主党)と元衆院議員の石関貴史氏(無所属)に、政策を中心に考え方を聞いた。井野俊郎前衆院議員(自民党)は「多忙の折」として取材ができなかった。1回目は自らを「伴走型」とし、人に寄り添う政治スタイルが持ち味の堀越氏。 

 家庭医療制度の充実と予防医療に注力

― 自宅療養を余儀なくされ、死に至るコロナ感染者も出た医療崩壊の大きな要因と、今後のコロナ対策について。

堀越 日本の医療機関は公営30パーセント、民間70パーセント。コロナを封じ込めている国はこの逆だ。効率化だけを求めた地域医療機関の再編・統合などで日本の医療制度は崩壊し、コロナ禍対応で表面化した、ということだと思う。現制度のままの対策では医療費が増大するばかりだが、まずは病床の確保を急ぎたい。今後の大きな仕組みとしては、家庭医制度の充実が必要。疾病治療に診療報酬を払うのではなく、地域で病気がなくなったら診療報酬を支払うなど、予防医療に力を注ぐことが重要になってくる。

― コロナ禍で経済がますます疲弊、停滞しています。どのような対策が必要でしょうか。自国通貨を自由に発行できる国は財政破綻しないとする「MMT」理論についても所見を。

堀越 プライマリーバランスの均衡、財政規律は一旦凍結し、大胆な財政出動を行うべき。消費を促す給付と減税、とりわけ持続化給付や低所得者層を対象とした給付金は絶対に必要。党が提案している1000万円以下の所得者の所得税免除、消費税の5パーセント減税などで全ての人に恩恵が行き渡ることを実施したい。「MMT」理論については財務省のホームページにも書いてあるが、そういう雰囲気はない。私は割と支持しており、京大の藤井聡教授をお招きして何度も勉強会を開いている。

 生活安定に非正規労働者問題解決へ

― 以前から叫ばれ続けている少子高齢化問題は、未だに先が見通せません。

堀越 非正規労働者が50パーセントに届こうとしている労働行政を変えていかないと解決しない。生活が安定することで、結婚や子供を産もうと考える人は増えてくるはず。さらに国が出生や子育て、教育に、より予算を割くことが必要だと思う。労働力不足にはITなどテクノロジーを活用したい。

― 激しい米中対立の中、台湾を巡る緊張も高まっています。外交、防衛もこれまで以上の慎重な対応が求められます。憲法9条改正の是非についても所見を。

堀越 日米同盟の強化がさかんに叫ばれているが、これだけに頼る楽観論は避けたい。加えて緊張関係にある諸外国と外交のパイプを築くこと、それをより強固にすべきだ。憲法9条の個別的自衛権は認めるが、なし崩し的に決められた集団的自衛権には反対する。憲法9条の改正論議は必要だが、前提として国家権力の専制化や恣意的支配を防止・制限する立憲主義を理解し、政権を縛る鎖を強固にしないといけない。

 代替エネルギーに水力活用も 

― 脱炭素社会に向けて世界が一気に動き出しています。国は原発稼働を組み込んだエネルギー政策を進めていますが。

堀越 原発は基本的に即停止で、再稼働、ましてや新・増設はありえない。代替エネルギーの安定的供給としては、水力の可能性に期待している。機能を持たないダムの後付け工事による水力発電、小水力として農業用水も嵩上げ工事で対応が可能だ。河川法を改正し、治水・利水で水エネルギーの有効活用を推進したい。

― 選挙のたびに投票率の低さが目立つ伊勢崎市ですが、市民、とりわけ若者の政治への関心を高めるために何が必要でしょうか。

堀越 若者が政治から離れていくのではなく、政治が若者を遠ざけている面もある。潜在的な関心はあり、そこに我々がコミットできていないだけ。私の場合、日々さまざまな形の座談会を開き、これを積み重ねている。若い人が「楽しいから、面白いから行ってみよう」と次の集まりに、他の友人に声をかけてくれる。そんな連鎖で、政治をもっとカジュアルにしていきたい。
座談会
 【写真】玉村町内で県立女子大生が主催した「ごちゃまぜ座談会」(中央左が堀越議員)

 深夜のファミレスで仲間に背中押され政界へ 

 【横顔・取材メモ】 福祉医療現場で働く中で、周囲の環境が国の施策から置き去りにされているという危機感を覚え、野党統一候補擁立に向けた市民ネットワークをつくった。候補者が絞り切れない中、仲間と話し合う深夜のファミレスで、最終的に背中を押された。

「1日にほぼ3回は着替える」というのは、主催の他、招かれた座談会、高座、政治ラボなど、集まりの雰囲気に合わせるため。ほぼ週末はこうした集会で埋まり、ネクタイ姿は少ないという。介護士や保育士、障害児の母親など、とりわけ女性グループが多い。わかりやすく、同じ目線での語りかけが、集会の連鎖を呼んでいる。

 政治家タイプとして「その能力は決して高くない」と分析し、自らを「伴走型」と捉える。補強手段のひとつとして、コミュニティシンクタンクの確保も計画している。一方、バンドマンのキャラクターを活かした情報発信には長けている。インスタグラムのフォロワー16,000人は「政治家としては多いほう」と胸を張る。

 休日は子どもたちと近場のキャンプなどで過ごすアウトドア派。議員活動の合間の僅かな休憩は、バンド活動のためにとギターやウクレレの練習に忙しい。作曲活動では新曲が完成し、近くSNSなどに配信する。タイトルは「約束」。(2021年10月12日)

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コロナ禍疲弊経済に「給付と減税で消費促したい」堀越啓仁氏
次期衆院選群馬2区「候補者に聞く」【1】

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